社労士サトウオフィスブログ

労務管理や年金などに関する記事が中心ですが、プライベートな記述もあります

賃金のデジタル払い(1)

賃金のデジタル通貨払いが開始されています。

デジタル通貨払いというのは、指定資金移動業者の口座への振り込みという形で賃金を支払うものです。「資金移動業者」はいわば法律的な呼称で、いわゆる〇〇pay業者のことです。「指定資金移動業者」は厚生労働省の審査を経て指定を受けた〇〇pay業者ということになります。

 

改正の目的

賃金のデジタル通貨払いの制度を導入する背景に関しては「昨今、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取りに活用するニーズも一定程度見られる」と通達(基発1128第3号 令和4年11月28日)で述べられています。
賃金の支払方法の選択肢を増やそうということですね。

私が教えている学生の中には、最近キャッシュレスで買い物などをすることが多く、現金はほとんど使わないと話している者もいます。
更に私の知人・友人(ほぼ中高年世代)でも〇〇payを利用している人はかなり多く、この類の業者を利用したキャッシュレス決済が広まっていることを実感します。そして私自身もそのひとり。
このような情勢にあって、一定数の人たちがデジタル通貨払いで賃金を受け取りたいと希望するのは自然なことのように思われます。

また、外国人労働者の場合、言葉の壁などがあって銀行口座の開設自体が難しいといった事情からデジタル払いを認めるべきだという意見もあるようです。
厚労省の審議会では「キャッシュレス化の促進や外国人労働者を含む多様な賃金払いのニーズへの対応という点で必要な施策」という意見も出されています。(第165回労働政策審議会労働条件分科会資料)
そして、その意見を反映すべく、制度紹介のリーフレットは日本語版だけでなく、英語・中国語・ベトナム語など13言語の翻訳版も公開されています。

 

上記リーフレットによると、当制度の今後の流れが以下のように説明されています。

①2023年4月~ 資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請、厚労省で審査(数か月を要する)
②各事業場で労使協定を締結
③個々の労働者への説明・労働者の同意のうえでデジタル払い開始