社労士サトウオフィスブログ

労務管理や年金などに関する記事が中心ですが、プライベートな記述もあります

賃金のデジタル払い(2)

賃金のデジタル通貨払いについてのトピックの続きです。今回はその制度を導入するにあたって注意すべきいくつかの点を記しておきたいと思います。

① デジタル払いの制度を導入したからと言ってこれまでの、これまでの賃金支払方法を止めることはできません。
原則的な方法である現金による支払、預貯金口座や証券総合口座への振込をデジタル払いに切り替えるといったことはできないのです。
つまり、労働者が希望しない場合、これまでと同様な方法で賃金を受け取ることができるということです。

 

② 逆に、労働者はデジタル払いを望んでいるが、事業主が当制度の導入を欲していないというケースもあり得ます。
その場合はデジタル払いの制度を導入する必要はありません。
通達(基発1128第3号 令和4年11月28日)では次のように述べられています。「労働者及び使用者の双方が希望する場合に限り、賃金の支払方法として、指定資金移動業者口座への資金移動によることを可能とする」

 

③ ○○pay口座(指定資金移動業者の口座)は、銀行口座などと違い、預金のための口座ではなく、買い物などでの支払いや送金に使うための口座です。
こういった目的の利用見込みなどを踏まえたうえで賃金振込額を決定しなくてはなりません。

 

④ ○○pay口座の上限額は100万円に設定されています。賃金の振込によって100万円を超えた場合は、労働者が前もって指定した銀行口座へ自動的に出金されるという仕組みになっています。

 

⑤ 賃金の一部を○○pay口座で受け取り、残りを銀行口座などで受け取るといった選択肢も認められています。

 

⑥ ATMや銀行口座などへの出金により、口座残高を現金化することも可能です。
少なくとも月1回は手数料なしで○○pay口座からの払い出しができることになっています。