社労士サトウオフィスブログ

労務管理や年金などに関する記事が中心ですが、プライベートな記述もあります

障害者の雇用率引上げに対する民間企業の対応 #障害者

障害者の「法定雇用率」が7月1日から引上げられました。

 

これは誰もが能力に応じた社会参加を可能にする「共生社会」を目指す国の施策の一つです。国や地方公共団体でも引上げは行われていますが、ここでは民間企業における引上げについてのご説明になります。

雇用率アップ
法定雇用率は、2024年3月までが2.3%、2024年4月~2026年6月までは2.5%でしたが、この7月から2.7%ということになりました。
この引上げは数年前から計画されていたものですが、企業の準備期間を考慮して複数回にわたって実施されてきたという経緯があります。

 

37.5人に一人
今回の改定により従業員が37.5人以上の企業は少なくとも1人の障害者を雇用する法的な義務が発生します。
ということは、これまで対象外だった企業の一部も雇用義務が生じるということを意味します。
中小企業の事業主さんは自分の企業の従業員数を確認して、必要であれば対処しなくてはなりません。

 

納付金
従業員100人を超える企業で法定雇用率に達していない場合、不足している障害者1人につき、月額5万円の「障害者雇用納付金」を納めなくてはなりません。
つまり従業員100人以下ならば納付金を支払う必要はないのですが、それで安心してはいけません。
障害者雇用は先に述べたように法的な義務なのです。
それなりのペナルティを覚悟しなくてはなりません。
どんなペナルティかは後ほど。

社労士事務所 サトウオフィス

パワハラの類型

7月2日の記事の続きです。

 

ある行為がパワハラにあたるか否かを判断するのがむずかしい場合が多々あります。

厚生労働省が発行しているハラスメントについてのパンフレット「職場におけるハラスメント対策パンフレット」では、パワハラの代表的類型として以下の6つが挙げられています。
①身体的な攻撃(暴行・傷害)
②精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
⑤過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

 

これらの類型はとても明確に定義されていると思われますが、実はそれほど明確ではありません。
とてもはっきりした形の言動(例えば、殴る・蹴る・土下座の強要等)であれば、ハラスメントかどうかを判断するのは容易でしょうが、そういうケースばかりとは限りません。
上記パンフレットではパワハラかどうかを判断する際に次の点に注意すべきであるとされています。
※「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは何かを総合的に考慮しなくてはならない
※パワハラの被害者とされる労働者が受ける「身体的又は精神的な苦痛の程度等を総合的に考慮して判断する」必要がある。
※更に、類型の例として挙げられているものは限定列挙ではなく、個別の事案の状況等により判断が異なることがあり得る。

 

こういった曖昧さが生じるのはむしろ当然であり、ハラスメントが起こるのは人対人の関係なわけですから、その人間関係を吟味しなくてはなりません。
またハラスメントが起こった状況等を個別具体的に吟味する必要もあります。

まとめ

パワハラの判断は、6つの類型だけで機械的に決められるものではありません。
人と人との関係性、置かれた状況、受けた苦痛の程度などを丁寧に見ていく必要があります。
だからこそ、迷ったときは一人で抱え込まず、第三者の視点を入れることが大切です。
曖昧さを前提にしながら、職場全体で相談しやすい環境を整えていくことが、パワハラ防止の第一歩になります。

 

社労士事務所 サトウオフィス

算定基礎届の提出期間まっただ中

間もなく7月10日、算定基礎届(定時決定)の提出期限となります。

今は提出期間の真っただ中。
毎年恒例の届出とはいえミスの出やすい手続ですので、まだ提出なさっていない事業主さんはもう一度確認の上提出するようにしてください。
このブログでも5月31日と6月2日の記事で算定基礎届のポイントをいくつか取り上げました。
6月8日の「賞与支払届のポイント」と合わせて読んでくだされば、何らかの参考になると思います。

まだ提出準備ができていないという事業主さんは、できるだけ急いで手続きを完遂するよう努めるべきでしょう。
日本年金機構のホームページ(算定基礎届の案内ページ)では7月11日以降も届けを受け付けるという記述があるだけで、遅延に対するペナルティには特に言及されてはいません。
しかし届けをしないでいれば義務違反になるのですから、年金事務所がそれを放っておいてくれるはずはありません。
仮に期限を過ぎてしまった場合は、管轄の年金事務所に連絡し指示を仰ぐようにしましょう。

 

社労士事務所 サトウオフィス

パワハラを構成する3つの要素

パワハラを事業主が防止措置を講じるべきものとして規定しているのは「労働施策総合推進法」第30条の2の条文です。
その条文を少しわかりやすくまとめると、以下の3つの要素のすべてに該当するものがパワハラということになります。
①優越的な関係を背景とした言動であって
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるもの

なるべく簡略にポイントとなる事項を説明しておきましょう。

※ここで言う「労働者」は正社員とは限りません。パート、アルバイト、契約社員など、事業主が雇用するすべての労働者を指します。

※「優越的な関係」に関し、上司=優越的な立場と言い切ることはできません。例えば、ある分野に関して部下の方が業務上必要な知識などを持っていて、それを背景にして上司にハラスメントをした場合もパワハラとなります。

※「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは、例えば業務には関係がなく必要もない言動によって相手を詰る(なじる)といった行為が考えられます。また業務に関連していても、執拗にあるいは不適当な発言で指導した場合パワハラと考えられます。

引越のご報告

今日はプライベートなご報告をひとつ。

訳あって東大和市に引っ越しました。
生活の拠点を変えたわけですが、
今後は仕事のベースもこの地になることになります。

 

居住地を変えるのを決めた理由の一つは
長いこと務めていた教師の職を辞めたことでした。
このブログやサイトでも教師としての視点でも
いくつか記事を書いてきましたが、それももうお終いです。

 

東大和市に引っ越すとある知人に告げると
「知っているよ、神奈川県の町でしょう」
いえいえ、東京なのです。
尤も私自身、東京のどこら辺にあるのか
ちゃんと理解できていたわけではありませんが。

 

前回の記事でハラスメントについて書くと予告しておきながら、
引っ越しに伴う様々な手続きで忙しく、
約束をなかなか果たせずにいました。
近々その記事は公開しようと思います。

労務管理の季節:6月病と部下への配慮

6月に入ると労働保険の年度更新が始まり、算定基礎届や賞与支払届の準備もありといった具合で、担当する部署(人事・労務・総務など)は大変な時期に入ります。

他方、5月病ならぬ「6月病」の時期でもあります。
この6月病というのは、年度初めの新生活へ適応するために気を張り詰め、新たな仕事や人間関係に関わる緊張感に耐えてきた人が心身に不調をきたすというものです。
さらにこの時季の鬱陶しい気候がその症状に拍車をかけることもあるらしい。
尤も、これは医学用語というわけではなく、病院では適応障害やうつ病と診断されることが多いようですが。

 

ですから上司の立場にいる方は部下の人たちにちょっとした配慮・気遣いをすべき時期でもあるといえます。
ハラスメントなどもってのほか、これまで頑張ってきた部下の努力を蔑ろにするものですし、貴重な人材を失うことになるかもしれません。

 

次回の記事では、ここから話を転じてハラスメント(特にパワハラ)について書こうと思っています。今日の話題はその前置きということで…

賞与支払届のポイント

6月下旬にボーナスを支払う会社はかなり多いと思われます、会社によって違いがあるのはもちろんですが。
その際「賞与支払届」を届出しなくてはならないのですが、その期限は支給日から5日以内ということになっています。
つまり、あまり時間的余裕がないのですから、予め準備を進めておかなくてはなりません。

 

月々の報酬から標準報酬月額が決定され社会保険料の計算等の基礎になるのと同様に、ボーナスについても「賞与支払届」を出すことで賞与の保険料額が決定され、被保険者が受給する年金額の基礎となります。

 

ここでいう賞与は年3回以下支給されるものです。
賞与という名称であっても年4回以上のものは標準報酬月額となり、前回記事で取り上げた算定基礎届の対象となります。

 

保険料の計算

賞与額(税引き前の支給額)から1,000円未満を切り捨てた額を「標準賞与額」とします。
標準賞与額×保険料率が保険料となります。
この保険料も労使折半ということになっています。

厚生年金保険料と健康保険料では保険料の上限額に違いがあるので注意を要します。
厚生年金保険料の場合は一か月の支給につき150万円
但し上限を超えた場合でも、賞与支払届には実際に支払われた賞与額を記入することになっています。

健康保険料では、一月当たりの上限額はありませんが、年度(4月1日~3月31日)の累計で573万円が上限額になっています。
上限を超えた場合でも、同一年度内に再び賞与が支払われた場合は賞与支払届の提出を要します。
また、産前産後休業や育児休業などの保険料免除期間中に支払われた賞与についても、健康保険の年度累計の対象となるため、やはり賞与支払届を提出しなければなりません。