9月になると、「手取りが減った?」という声が聞こえてくることがあります。
とくに社会保険料が変わることで、手取りが数千円ほど上下することもあり、従業員の方が訝しく思うこともあるようです。
実はこれは、社会保険の仕組みによって毎年決まっている“恒例行事”のようなものです。
本日は、できるだけ簡略になぜ9月に標準報酬月額が変わるのか、そしてどんな人が影響を受けるのかを解説します。
■ 標準報酬月額とは何か
まずは基本から整理しましょう。
標準報酬月額とは、社会保険料を計算するための「目安の月収」のことです。
実際の給与額そのものではなく、総支給額(基本給・残業代・通勤手当など)を一定の幅ごとに区切った“等級”に当てはめて決められます。
たとえば、
というように、細かい金額ではなく「幅」で扱う仕組みです。
この等級をもとに、健康保険料や厚生年金保険料が計算されます。
つまり、標準報酬月額が変わると、社会保険料も変わり、結果として手取りが増えたり減ったりするわけです。
当然標準報酬月額が上がると社会保険料も上がることになります。
■ なぜ9月に変わるのか
標準報酬月額は、毎年 4月・5月・6月の給与の平均をもとに見直されます。
企業は7月に「算定基礎届」という書類を提出し、それをもとに社会保険料の計算に使う等級が決まるのです。
そして、決定された新しい標準報酬月額は 9月分の保険料から適用されます。
■ 標準報酬月額が変わる理由
「基本給は変わっていないのに、標準報酬月額が上がった」という相談はよくあります。 その理由は、4〜6月の給与に含まれるさまざまな要素が影響するためです。例えば・・・
① 4〜6月に残業が多かった
残業代も報酬に含まれるため、平均額が上がると等級が上がることがあります。
② 通勤手当の変更
交通費も報酬に含まれます。
4月は人事異動や通勤経路の変更が多いため、影響が出やすい時期です。
③ 現物給与(社宅・食事補助など)
現物支給も報酬に含まれるため、企業によっては等級が変わることがあります
つまり、昇給がなくても、4〜6月の働き方や支給内容によって標準報酬月額が変わることがありうるのです。
■ 標準報酬月額が上がると損?
たしかに、4〜6月に残業が多いと標準報酬月額が上がり、9月以降の保険料が増えることがあります。
その意味では「手取りが減る」という点だけを見ると“損”と感じるかもしれません。
しかし、標準報酬月額が上がると、将来の年金や傷病手当金などの給付額も増える仕組みになっています。
つまり、短期的には手取りが減っても、長期的にはメリットがある場合も多いのです。
単純に「損」と断じるのは早計に過ぎると思われます。