社労士サトウオフィスブログ

労務管理や年金などに関する記事が中心ですが、プライベートな記述もあります

賃金のデジタル払い(3)

賃金のデジタル通貨払い制度導入に関わる問題点

① 万が一の場合

当制度が導入された場合、どのように安全性が確保されるかという点は気になるところです。
厚労省リーフレットによると、例えば○○pay口座から労働者の同意なく不正にお金が引き出された場合、口座所有者に過失がなければ損失額全額が保証されるとしてあります。
また、○○pay業者が破綻したときには、その業者と保証委託契約等を結んだ保証機関から弁済が行われるとのことです。

② 事業主にとってのディメリット

(1) 当制度を運用するためには、労働者への説明と労働者からの同意が不可欠です。この「労働者への説明」は、制度がまだ世間に広まっていない段階では、事業主の人たちにとっては結構な負担になるかもしれません。ただし、説明については、指定資金移動業者に委託することも認められています。(労働者からの同意は事業主自身が得なくてはなりません)

(2) 就業規則を変更する必要があります。賃金に関わる事柄は必ず記載する必要がありますし、変更がある場合は就業規則の内容も変更しなくてはなりません。

(3) 負担が増える可能性があります。例えば労働者が銀行振り込みとデジタル通貨払いの両方を指定した場合、事務負担・経費負担(手数料)が増えることが考えられます。

 

書式

制度を運用するうえで必要となる様式例は厚生労働省のホームページで公開されています。興味をお持ちの方は参考になさってください。
資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
特に同意書の様式例は多言語翻訳版が掲載されています。外国人労働者を雇っておられる事業主の助けとなってくれると思われます。